製図場

製図場

「畳に座って、富士山と桜を見ながら仕事をしたい」
この土地と出会った瞬間にそう考えました。10人程作業ができるデスクと本棚、大きな窓と天窓で明かりを取り、必要最低限の照明でモダンな雰囲気を醸し出す。トイレとミニキッチンが備わっている事務所。外観の特徴は、軒が深く、屋根が木材を瓦としている杮葺き(こけらぶき)仕様となっていること。当初は木製の色味をしていた屋根も、今では濃い味わいが出てきています。土壁仕上げ、家具など、素朴屋として表現したいことが散りばめられた建物となりました。

  • 施工年月
    2020年11月
  • 所在地
    山梨県北杜市大泉町
  • 延床面積
    66.1㎡
  • 階数
    平家
  • 構造
    木造
板の間と畳を融合して作業場と接客の空間を作り、南側は美術館を施工した際に閃いた竹の柱とフルオープンの大きな一枚窓。北側の横スリットの窓からは、内外からお互いに働く姿がよく見える造りになっています。
天然素材の家として、発酵藁入りの土壁を仕上げ材としています。建築物は建てたら終わり、ではなく、住み続けてなお作り続けるものです。時が経ち、土の色も変化し備前焼のような深みある壁に。土壁を下地として漆喰など上塗りすることも可能です。
八ヶ岳はアカマツ生息の土地。地元産の木材を活用できないか考え、使いづらいと言われる曲がった木材を、メインの太鼓張りとして活用しています。土壁との相性を考え、黒い色味を出す為、柿渋、ベンガラを使用。大工の技術は小屋組みに現れるとよく言われたもので、素朴屋では天井を張らずに、垂木を見せる構造にしています。電気配線を隠すことが一苦労です。
南側を囲うウッドデッキと枝垂桜のある庭園は、富士山、南アルプス、田園集落など毎日絶景が広がり、スタッフや野鳥たちの憩いの場となっています。自然石の上に柱を設置している石場建ての技術も見どころ。一般住宅と異なり、軒が深いことも建物の特徴の一つ。
お手製の建具、建具枠も見どころの一つ。建物全体を柔らかく表現するために建具枠を小さく収め、竹の丸さを活かすように、土壁を枠や竹に巻き込むように左官しました。左官の努力の結晶です。
信州の山奥に住むチェコ人がオーダーメイドで作る薪ストーブで暖を取っています。事務所には大きすぎる程のストーブなのですぐに暖かくなります。薪割はスタッフの一仕事。頭のリセット、アイディアが沸いて出てくるとリフレッシュになっています。素朴屋の建築はアイアンとの相性も良く、薪ストーブの周りの鉄板も渋さを醸し出しています。
設備はシンプルにトイレ、キッチン。吊戸棚や吊机を設置し、遊び心も表現しています。本棚、ベンチ下収納も充実しています。
北杜市の夕景、夜景も毎日絶景。土壁の中に飲み込まれた丸窓から眺める富士山も素敵ですが、暖色の照明を付け、外から眺める丸窓も素敵な存在感。入口の暖簾も加わり、和風料亭のような佇まいとなります。


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八ヶ岳への移住や土地探し、気候・風土など地域に関するご相談、木造軸組工法で建てられた家屋のモデルハウス見学会をご用意しています。

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